2011年09月25日
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INIファイル再来

Written By: 川俣 晶連絡先

「Windows PhoneにはIsolatedStorageSettingsというクラスがある」

「分離されたストレージだね」

「そうだ。そして、key/valueストアだ」

「key/valueストアって、今流行のクラウドのストレージだろ? 凄く発想が新しいじゃん」

「そう思うだろ?」

「えっ? 違うの?」

「きっと若い人は誰も知らないが、昔のWindowsには今と違う部分がいろいろあった。その1つはINIファイルという奴なんだ」

「ああ、テキストファイルに設定を記録するやつね」

「結局さ、任意のキーと値を記録できるって、あれの再来なんだよ」

「でもさ。INIファイルにはセクションがあったじゃない。それで分類できたじゃん」

「じゃあ、ほとんどの人が知らない偉い昔に戻ろう」

「どれぐらい?」

「Windows 2.x時代」

「ひぇ~」

「その時代。INIファイルはwin.iniの1つしかなかった。セクション分けというのは、実はほとんどの場合アプリの分類用であった」

「あれ。アプリごとに分割されたストレージなら、アプリを分けるセクションは要らないじゃん」

「だからさ。あの頃のINIファイルに実は感触が似ているんだ」

「ひぇ~」

「時代は一回りして、Windows黎明期に戻ったのかも知れないぞ」

「まさか」

「ちなみに、Windows 1.x時代のUIはタイリングウィンドウ。WP7のメトロもタイルUI」

「何だよそれは。どこまで時代が戻ってるんだよ」

「戻ってないよ。進んでいるんだよ。それがなぜか昔に似ているだけ。といっても、その時代をちゃんと知ってる人はほとんど皆無」

「どうして、そんなに少ないの?」

「Windowsは売れないソフトの代名詞だったからだ」

「ぎゃふん」

「悪の帝国マイクロソフトが客を騙してWindowsを強引に売り込んだ、なんてことはまるでないぞ。それが事実なら当時を知ってる人はもっとはるかに多いはずだ」

「まさに風評被害ってことだね」